奈良市の富雄丸山古墳(4世紀後半)からみつかった3枚の青銅鏡の特別公開が1日、奈良県橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所付属博物館で始まった。17日まで。
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公開中の3枚は、いずれも直径20センチ前後の大型鏡で、中国大陸で製作された後に日本列島に運ばれたとみられる。
橿考研と奈良市教育委員会によると、1号鏡が女王卑弥呼が中国魏の皇帝からもらったとも言われる三角縁神獣鏡(3世紀中ごろ)。2号鏡は「虺龍文(きりゅうもん)」と呼ばれる逆S字形のモチーフを配し、国内で確認された40枚の中で最大の虺龍文鏡(紀元前1世紀末~後1世紀初め)。3号鏡は2体の神像と脇侍、竜と虎を表現した画像鏡(2世紀末~3世紀前半)。
虺龍文鏡は、中央アジアのウズベキスタンのオアシス都市・サマルカンド郊外やロシア南西部でも出土。中国の前漢王朝の外交・交易活動の実態を示すほか、なぜ鏡が作られてから約400年後に築かれた奈良の古墳に副葬されていたのかなど、多くの謎が生まれている。
鏡のクリーニング作業を担当した橿考研の奥山誠義・総括研究員は「(保存処理のための)樹脂でコーティングしていない、ありのままの状態で見ていただける最初で最後の展示。たくさんの方に見ていただけたら」と話す。
午前9時~午後5時。4、12日は休館。大人400円、大学・高校生300円、小・中学生200円。問い合わせは博物館(0744・24・1185)へ。